術後感染巣から分離されたEnterococcus faecalisの検討

著者らは最近外科領域でも増加が著しいE. faecalisの分離状況ならびにその背景因子について種々の検討を加えた。 1976~1984年までの9年間に大阪市立大学医学部第二外科における術後感染巣からのE. faecalisの年次分離頻度は増加傾向がみられ, 1982年には61.1%に達した。 手術部位では結腸・直腸が最も多く次いで肝・胆道であった。 前治療としてセフェム剤の投与されたものが圧倒的に多かった。 また, 単独感染として分離されることは少なく, 大部分が複数菌であった。 セフェム剤, 特にセファマイシン系薬剤における感受性の低下が認められる。 本菌が検出された56例中の11例が死亡...

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Published in:CHEMOTHERAPY Vol. 35; no. 7; pp. 535 - 541
Main Authors: 藤本, 幹夫, 酒井, 克治
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 公益社団法人 日本化学療法学会 1987
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Summary:著者らは最近外科領域でも増加が著しいE. faecalisの分離状況ならびにその背景因子について種々の検討を加えた。 1976~1984年までの9年間に大阪市立大学医学部第二外科における術後感染巣からのE. faecalisの年次分離頻度は増加傾向がみられ, 1982年には61.1%に達した。 手術部位では結腸・直腸が最も多く次いで肝・胆道であった。 前治療としてセフェム剤の投与されたものが圧倒的に多かった。 また, 単独感染として分離されることは少なく, 大部分が複数菌であった。 セフェム剤, 特にセファマイシン系薬剤における感受性の低下が認められる。 本菌が検出された56例中の11例が死亡したが, 本菌が真の起炎菌とは考えにくく, むしろimmuno-compromised hostが多いことからopportunistic pathogenとしての性格が強い。
ISSN:0009-3165
1884-5894
DOI:10.11250/chemotherapy1953.35.535