低ナトリウム血症を契機として発見されempty sellaを伴ったadrenocorticotropic hormone (ACTH)単独欠損症の1例

症例は56才,男性. 54才時より食欲不振が出現,昭和59年,低Na血症にて入院.昭和60年4月より悪心,嘔吐出現し当科紹介.血清Naの最低値は105mEq/l.血中コルチゾール,尿中17-OHCSの著しい基礎低値.血漿ACTH基礎値は測定感度以下で,インスリン低血糖, L-8-V, CRFに無反応.他の下垂体前葉ホルモン正常. ACTH単独欠損症と診断,画像診断上empty sellaが確認された.低Na血症下のACTH-Z負荷にてコルチゾール, 17-OHCSは増加し,自由水クリアランスは-0.85~-0.95ml/分よりほぼ0に至り,低Na血症は改善, ADHは1.4→0.5pg/mlと...

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Published in:日本内科学会雑誌 Vol. 76; no. 12; pp. 1856 - 1861
Main Authors: 中川, 淳, 西野, 逸男, 中村, 保雄, 蜂谷, 春雄, 山田, 隆千, 積良, 愚, 江守, 巧, 中林, 肇, 川東, 正範, 竹田, 亮祐
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 一般社団法人 日本内科学会 10-12-1987
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Description
Summary:症例は56才,男性. 54才時より食欲不振が出現,昭和59年,低Na血症にて入院.昭和60年4月より悪心,嘔吐出現し当科紹介.血清Naの最低値は105mEq/l.血中コルチゾール,尿中17-OHCSの著しい基礎低値.血漿ACTH基礎値は測定感度以下で,インスリン低血糖, L-8-V, CRFに無反応.他の下垂体前葉ホルモン正常. ACTH単独欠損症と診断,画像診断上empty sellaが確認された.低Na血症下のACTH-Z負荷にてコルチゾール, 17-OHCSは増加し,自由水クリアランスは-0.85~-0.95ml/分よりほぼ0に至り,低Na血症は改善, ADHは1.4→0.5pg/mlと低下した.本例の低Na血症にはグルココルチコイド欠乏を基にSIADH様病態の関与が示唆された.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.76.1856