電撃傷に伴う急性腎不全の救命例血漿交換療法の新しい適応
電撃傷に合併する急性腎不全は,ミオグロビン等の組織崩壊物の腎毒性が原因と考えられており,電撃傷における遷延死の合併症として最も重篤なものである.我々は, 77000ボルトの電撃を受け急性腎不全を合併したが,血漿交換およびすみやかな受傷部の切除等により救命し得た症例を経験したので報告する.症例は49才,男性で,両手掌および左肩より左足に通電した電撃により,左足は壊死に陥り,体表の約30%がIII度以上の熱傷を受けた.受傷第1日より乏尿となり,第3日における血清CPK値は209470IU/l,ミオグロビンは12500ng/ml以上と異常高値を示し, anion gap 23mEq/1, pH 7....
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Published in: | 日本内科学会雑誌 Vol. 71; no. 4; pp. 507 - 512 |
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Format: | Journal Article |
Language: | Japanese |
Published: |
一般社団法人 日本内科学会
01-04-1982
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Summary: | 電撃傷に合併する急性腎不全は,ミオグロビン等の組織崩壊物の腎毒性が原因と考えられており,電撃傷における遷延死の合併症として最も重篤なものである.我々は, 77000ボルトの電撃を受け急性腎不全を合併したが,血漿交換およびすみやかな受傷部の切除等により救命し得た症例を経験したので報告する.症例は49才,男性で,両手掌および左肩より左足に通電した電撃により,左足は壊死に陥り,体表の約30%がIII度以上の熱傷を受けた.受傷第1日より乏尿となり,第3日における血清CPK値は209470IU/l,ミオグロビンは12500ng/ml以上と異常高値を示し, anion gap 23mEq/1, pH 7.28の代謝性アシドーシスなど,高度の組織崩壊が血液生化学検査からもうかがわれた.血液透析をくり返すとともに,受傷後第4日に回復不能と判断された左足を切断し,第6日と第10日に血漿交換を行なつた.この血漿交換にてミオグロビンは95%以上除去された,一時消化管出血も合併したが,受傷後第3週より利尿がみられ, GFR 40m1/minまで回復した,本例は本邦における電撃傷に伴う急性腎不全のうち救命し得た第3例であり,血漿交換を施行した初めての症例である.血漿交換はミオグロビンや他の大分子組織崩壊物の除去に有効で,電撃傷,熱傷,挫滅症候群等の腎不全例に対しよい適応があると考えられる. |
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ISSN: | 0021-5384 1883-2083 |
DOI: | 10.2169/naika.71.507 |