徐放性プロゲステロン膣坐剤 ─第3報:院内製剤の開発と臨床評価

「緒言」黄体ホルモン(プロゲステロン, progesterone; P)は妊娠の成立維持に重要なホルモンであり, 不妊症, 特に体外受精時の黄体補充療法としての投与は極めて有用である. 1)市販剤形としては, 経口剤(プレグナン系合成P)と注射剤があるが, それぞれ問題点があり, 臨床では院内製剤である膣坐剤を用いた経膣投与が行われている. 2-4) これまで筆者らは, 当院薬局で調製したプロゲステロン200mg膣坐剤(既存坐剤)の製剤評価と臨床使用における体内動態を調べ, 注射剤との比較も含め, 有効性を確認した. 5,6) しかし既存坐剤は, 単回投与での有効濃度の持続時間が短く, また投...

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Published in:YAKUGAKU ZASSHI Vol. 133; no. 6; pp. 727 - 736
Main Authors: 中山, 綾子, 山口, 奈穂, 大野, 佑希子, 宮田, 千尋, 近藤, 東臣, 砂田, 久一, 岡本, 浩一
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 公益社団法人 日本薬学会 2013
日本薬学会
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Description
Summary:「緒言」黄体ホルモン(プロゲステロン, progesterone; P)は妊娠の成立維持に重要なホルモンであり, 不妊症, 特に体外受精時の黄体補充療法としての投与は極めて有用である. 1)市販剤形としては, 経口剤(プレグナン系合成P)と注射剤があるが, それぞれ問題点があり, 臨床では院内製剤である膣坐剤を用いた経膣投与が行われている. 2-4) これまで筆者らは, 当院薬局で調製したプロゲステロン200mg膣坐剤(既存坐剤)の製剤評価と臨床使用における体内動態を調べ, 注射剤との比較も含め, 有効性を確認した. 5,6) しかし既存坐剤は, 単回投与での有効濃度の持続時間が短く, また投与後の血中濃度の急激な立ち上がりによる副作用も考えられたため, 徐放性P膣坐剤(徐放性坐剤)の開発が望まれた. Pの徐放性製剤としては, 国内では医薬品として合成ホルモンである注射デポ剤があるが, 体外受精での補充療法においては効果が不十分なため, 筋肉注射や坐剤投与に対する補助的使用が一般的である.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.13-00018