アテロコラーゲンsiRNA導入技術のRNAi医薬への応用

1.はじめに RNA干渉(RNAi)は,植物でみつかった転写後遺伝子サイレンシング(post-transcriptional genesilencing;PTGS)あるいは,ウイルス誘発性遺伝子サイレンシング(viral-induced gene silencing;VIGS)という現象を手掛かりとして発見された.RNAiが線虫で初めて見出されたのは,1998年のことであるが,相ついで,ゼブラフィッシュ,ショウジョウバエなど様々な種で確認され,さらに哺乳類においてもRNAiが報告された.RNAiは,生物学や医学の研究に大きなインパクトを与えたと同時に,バイオ医療の新星として大いに注目されている...

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Published in:YAKUGAKU ZASSHI Vol. 127; no. 5; pp. 807 - 812
Main Authors: 本間, 紀美, 竹下, 文隆, 落谷, 孝広
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 公益社団法人 日本薬学会 01-05-2007
日本薬学会
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Description
Summary:1.はじめに RNA干渉(RNAi)は,植物でみつかった転写後遺伝子サイレンシング(post-transcriptional genesilencing;PTGS)あるいは,ウイルス誘発性遺伝子サイレンシング(viral-induced gene silencing;VIGS)という現象を手掛かりとして発見された.RNAiが線虫で初めて見出されたのは,1998年のことであるが,相ついで,ゼブラフィッシュ,ショウジョウバエなど様々な種で確認され,さらに哺乳類においてもRNAiが報告された.RNAiは,生物学や医学の研究に大きなインパクトを与えたと同時に,バイオ医療の新星として大いに注目されていることは,2006年のノーベル医学生理学賞の受賞でも示されている.創薬においては,RNAiが遺伝子発現抑制による強力な解析ツールとして,新規治療標的の同定のために使用さている.また,医療においては,siRNA(small interfering RNA)の患部への局所投与による,加齢黄斑変性症の治療が臨床試験段階にあるほか,感染症,がんを始めとした多くの疾患への適用が検討されている.近年,siRNAの全身投与によっても,霊長類における成功や,1)転移性がんモデルでの成功が報告されており,2)臨床応用への期待が高まっている.
ISSN:0031-6903
1347-5231
DOI:10.1248/yakushi.127.807