P-34)乳腺腫瘍穿刺吸引細胞診での組織型推定の重要性について

乳腺腫瘍の穿刺吸引細胞診は確定診断法としてはきわめて有用である. 当院においては1986年より外来迅速診断として行っており2001年6月までに3, 149件を診断し, 乳房切除術, 乳房温存術が施行されたすべての症例に誤判定例はない. 原則として週に1日乳腺外来日とし, 細胞採取から約1時間で結果を報告している. 細胞診断では, 第1に細胞量, 結合性, 細胞異型さらにクラスターの出現様式, クラスターの2相性, ICL, アポクリン化生細胞の有無などから組織型を推定し良性悪性の判定を行っている. 細胞量が多く, 結合性に乏しく, 細胞異型が強ければ悪性の判定は容易であるがその条件が揃わない場...

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Published in:Journal of Nippon Medical School Vol. 68; no. 6; p. 582
Main Authors: 秋山裕美, 前田昭太郎, 細根勝, 原博, 片山博徳, 東敬子, 礒部宏昭, 柳田裕美, 川野記代子, 阿部久美子, 日吾美栄子, 小浜真澄, 田島敬夫, 澤田名美枝, 孫宇良, 劉愛民
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本医科大学医学会 2001
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Description
Summary:乳腺腫瘍の穿刺吸引細胞診は確定診断法としてはきわめて有用である. 当院においては1986年より外来迅速診断として行っており2001年6月までに3, 149件を診断し, 乳房切除術, 乳房温存術が施行されたすべての症例に誤判定例はない. 原則として週に1日乳腺外来日とし, 細胞採取から約1時間で結果を報告している. 細胞診断では, 第1に細胞量, 結合性, 細胞異型さらにクラスターの出現様式, クラスターの2相性, ICL, アポクリン化生細胞の有無などから組織型を推定し良性悪性の判定を行っている. 細胞量が多く, 結合性に乏しく, 細胞異型が強ければ悪性の判定は容易であるがその条件が揃わない場合は組織型を推定することにより良性悪性の判定を行う必要がある. 判定を行う上で組織型を推定することは, 多彩な組織像を呈する乳腺腫瘍に対して誤判定, 判定不能を防ぐためにも重要である. 当院では, 判定上の取り扱い規約を臨床との間で定めており, 特にClassVは原則として生検を行わずに乳房切除術, 乳房温存術を行うとしているためその判定は慎重でなければならない. 以上, 細胞像と組織像とが一致する症例を供覧し乳腺腫瘍の判定に組織型を推定する重要性について報告する.
ISSN:1345-4676