脳保護剤(フリーラジカル消去剤)エダラボンの研究開発

1978年にFlammら1)によって, フリーラジカルによる生体膜の脂質過酸化障害と虚血性脳損傷の関連性が初めて提唱された. 続いてSiesjo2)やDemopoulos3)は脳虚血におけるフリーラジカルの有害性を指摘, barbiturate系の麻酔薬による脳保護作用の一部にフリーラジカル除去作用が関与していると考えた. 一方, 浅野ら4, 5)は, 麻酔作用や脳代謝抑制作用がないフリーラジカル消去剤がより優れた脳保護剤になり得ると考えた. 以来, より選択的な抗酸化作用を示すフリーラジカル消去剤が脳保護剤として研究開発の対象となった. 6)フリーラジカルそのものは短い寿命と高い反応性のため...

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Published in:YAKUGAKU ZASSHI Vol. 124; no. 3; pp. 99 - 111
Main Authors: 渡辺俊明a, 田中正彦b, 渡邉和俊c, 高松康雄d, 戸部昭広e
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本薬学会 2004
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Description
Summary:1978年にFlammら1)によって, フリーラジカルによる生体膜の脂質過酸化障害と虚血性脳損傷の関連性が初めて提唱された. 続いてSiesjo2)やDemopoulos3)は脳虚血におけるフリーラジカルの有害性を指摘, barbiturate系の麻酔薬による脳保護作用の一部にフリーラジカル除去作用が関与していると考えた. 一方, 浅野ら4, 5)は, 麻酔作用や脳代謝抑制作用がないフリーラジカル消去剤がより優れた脳保護剤になり得ると考えた. 以来, より選択的な抗酸化作用を示すフリーラジカル消去剤が脳保護剤として研究開発の対象となった. 6)フリーラジカルそのものは短い寿命と高い反応性のために生体での測定は困難を極めたが, アラキドン酸(AA)代謝系や一酸化窒素合成酵素などのフリーラジカル産生系が脳内に実在すること, そしてこれらが脳虚血あるいは再開通後に活性化しフリーラジカルを産生し酸化障害が引き起こされることなどが次第に明らかにされてきた(Fig. 1).
ISSN:0031-6903