ヒト歯肉線維芽細胞におけるIL-1関連分子のタンパクプロセッシングの検討

〔目的〕インターロイキン-1(IL-1)は, 歯周病局所の炎症反応および免疫応答の制御において重要な役割を担っている. IL-1にはα, β共に前駆型と成熟型があり, IL-1αは前駆型, 成熟型共に, 一方IL-1βは成熟型のみ生物学的活性を示す. 以前より我々は, 歯肉線維芽細胞(HGF)を各種サイトカインで刺激すると細胞画分にIL-1αを産生し, 細胞画分IL-1αは細胞接触により周囲の細胞ヘシグナルを伝達し得ることを明らかにした. そこで本研究では, HGFにおけるIL-1で誘導されるIL-1関連分子[IL-1α, IL-1β, 1型IL-1レセプター(IL-1RI), IL-1レセプ...

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Published in:昭和歯学会雑誌 Vol. 19; no. 4; p. 417
Main Authors: 望月悟, 小林誠, 山口勝敏, 宮澤康, 岡松良昌, 伊藤省吾, 置鮎恭子, 長谷川紘司
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 昭和大学・昭和歯学会 30-12-1999
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Description
Summary:〔目的〕インターロイキン-1(IL-1)は, 歯周病局所の炎症反応および免疫応答の制御において重要な役割を担っている. IL-1にはα, β共に前駆型と成熟型があり, IL-1αは前駆型, 成熟型共に, 一方IL-1βは成熟型のみ生物学的活性を示す. 以前より我々は, 歯肉線維芽細胞(HGF)を各種サイトカインで刺激すると細胞画分にIL-1αを産生し, 細胞画分IL-1αは細胞接触により周囲の細胞ヘシグナルを伝達し得ることを明らかにした. そこで本研究では, HGFにおけるIL-1で誘導されるIL-1関連分子[IL-1α, IL-1β, 1型IL-1レセプター(IL-1RI), IL-1レセプターアンタゴニスト(IL-1Ra), IL-1βコンバーティングエンザイム(ICE)]の発現とIL-1α, βの前駆型から成熟型へのタンパクプロセッシングを確認することを目的とし, 以下の実験を行った. 〔材料および方法〕(1)ヒト歯肉からヒト歯肉線維芽細胞(HGF)をout growthさせ, 4-6代目の細胞を実験に使用した. (2)IL-1ファミリーのmRNA発現:confluentに達したHGFを, 精製ヒトIL-1αおよびIL-1βで0-48時間刺激後, ノーザンブロット法にてIL-1関連分子のmRNA発現を確認した. (3)IL-1依存的IL-1ファミリータンパク産生の確認;上記の条件で刺激したHGFの細胞膜画分および細胞質画分におけるIL-1関連分子のタンパク産生をELISA法, あるいはウエスタンプロット法にて確認した. 〔結果および考察〕IL-1依存的なIL-1αとIL-1βのmRNA発現は, 共に刺激後6時間でピークとなり, その後急速に減少した. IL-1RIとIL-1RaのmRNAは, 恒常的に発現しており, これらの発現はIL-1刺激により促進され, 刺激後6-12時間の間でピークを示し, その後維持された. ICEmRNAも恒常的な発現が認められるものの, その発現はIL-1刺激により影響を受けなかった. IL-1依存的なIL-1αおよびIL-1βのタンパク産生は12時間刺激でピークとなり, その後急速に減少した. IL-1αおよびβは, 細胞膜画分と細胞質画分において前駆型と成熟型が認められ, α, β共に前駆型の産生量が高い値を示した. また未刺激のHGFの両画分においてわずかに検出されるIL-1Raも, IL-1が刺激後その産生量が増加した. 以上の結果よりIL-1で刺激したHGFは細胞内にIL-1α, βおよびIL-1Raを産生し, 産生された前駆型IL-1α, βの一部は細胞内で成熟型IL-lヘタンパクプロセッシングされていることが明らかとなった.
ISSN:0285-922X