動注エンハンスメントCTの診断的価値

閉塞性脳血管障害に対し我々の行っている動注エンハンスメントについて紹介した. まず大脳基底核部の梗塞では, 本方法による基底核部の増強欠損は, その後出現する低吸収域とよく一致している. すなわち, 低吸収域の出現していない時期に梗塞巣を指摘できる例があると考えられた. 内頸動脈閉塞症では, 前・中大脳動脈領域の増強がみられぬことから診断可能であった. 中大脳動脈基幹部閉塞症では, 前大脳動脈からのback flowが良好な例を除き診断可能で, その際基底核の増強のされ方で閉塞部位がレンズ核線条体動脈の近位側か, 遠位側かの判別をしうる. また閉塞性疾患以外では, 等吸収性の慢性硬膜下血腫例に...

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Published in:Neurologia medico-chirurgica Vol. 22; no. suppl; p. 32
Main Authors: 小野晃嗣, 佐藤進, 川崎昭一, 森修一, 日高俊彦, 鎌田健一, 今村均
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本脳神経外科学会 1982
Online Access:Get full text
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Description
Summary:閉塞性脳血管障害に対し我々の行っている動注エンハンスメントについて紹介した. まず大脳基底核部の梗塞では, 本方法による基底核部の増強欠損は, その後出現する低吸収域とよく一致している. すなわち, 低吸収域の出現していない時期に梗塞巣を指摘できる例があると考えられた. 内頸動脈閉塞症では, 前・中大脳動脈領域の増強がみられぬことから診断可能であった. 中大脳動脈基幹部閉塞症では, 前大脳動脈からのback flowが良好な例を除き診断可能で, その際基底核の増強のされ方で閉塞部位がレンズ核線条体動脈の近位側か, 遠位側かの判別をしうる. また閉塞性疾患以外では, 等吸収性の慢性硬膜下血腫例に良い適応があり, 血腫の拡がりが明らかになる. 内頸動脈閉塞症に行ったSTA-MCA吻合術, EMSの術後の開存性や, 血流供給状態の把握にも役立つものと思われた.
ISSN:0470-8105