P-28)眼発生過程におけるEpimorphinの発現

Epimorphinは, マウス胎児の肺の管腔形成や毛包形成を誘導する物質として, 平井らによって同定され, 上皮細胞の形態形成に関与することが報告された. Epimorphinは, 間葉系と上皮系の細胞が三次元で接触したときに間葉系細胞に発現することが明らかとなっている. (Cell, 19, 1992). 水晶体は, 外胚葉性上皮が陥没する事によって形成され, 角膜上皮は体表の外胚葉そのもので, 上皮細胞が複雑に眼組織の形成に関与している. 今回, 眼組織の発生とEpimorphinの発現に関して検討を行った. 材料および方法:マウスの胎生期より成獣までの眼組織を, 抗マウスEpimorp...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in:Journal of Nippon Medical School Vol. 71; no. 6; p. 473
Main Authors: 石崎正通, 川村有葉, 福田悠, 尾碕憲子
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本医科大学医学会 2004
Online Access:Get full text
Tags: Add Tag
No Tags, Be the first to tag this record!
Description
Summary:Epimorphinは, マウス胎児の肺の管腔形成や毛包形成を誘導する物質として, 平井らによって同定され, 上皮細胞の形態形成に関与することが報告された. Epimorphinは, 間葉系と上皮系の細胞が三次元で接触したときに間葉系細胞に発現することが明らかとなっている. (Cell, 19, 1992). 水晶体は, 外胚葉性上皮が陥没する事によって形成され, 角膜上皮は体表の外胚葉そのもので, 上皮細胞が複雑に眼組織の形成に関与している. 今回, 眼組織の発生とEpimorphinの発現に関して検討を行った. 材料および方法:マウスの胎生期より成獣までの眼組織を, 抗マウスEpimorphin monoclonal抗体(MC-1)と抗基底膜抗体や抗ケラチン抗体を用い, それぞれの発現を免疫蛍光抗体法で観察した. 結果:胎生9~9.5日の水晶体発生初期に水晶体板と眼胞との間質にEpimorphinが認められ, 胎生10日には水晶体窩の上皮下, 胎生10.5日には, 体表より分離されつつある水晶体胞周囲に陽性所見が認められたが, 完全に体表から分離した水晶体胞周囲のEpimorphinは陰性化した. 胎生12日では, 角膜に分化しつつある上皮下基底膜にEpimorphinの陽性所見が認められた. その後, 角膜形成が進むに伴い陽性所見は増強した, 胎生16日目頃より, 実質の細胞外基質にも陽性となり, この蛍光レベルは次第に増強し, 新生仔から成獣に至るまで持続した. 考察:水晶体および角膜の形成にEpimorphinの関与が明らかとなった. 成獣においても角膜実質に発現していることより, 角膜の維持に寄与している可能性が示唆された.
ISSN:1345-4676