22)Strecker stent留置直後における腸骨動脈潰瘍様病変部の変化

目的:動脈の硬化性変化に伴う潰瘍病変は, 乱流発生などから血流遅延や動脈解離, 動脈瘤, 血栓形成などを惹起しうる病変部として考えられる. 今回, 我々は血管造影上で潰瘍様にみられた病変部(以下UL)がStrecker stent(以下stent)留置によって示した変化につき検討したので報告する. 対象, 方法:対象としたのは, 1993年6月から1996年6月までの期間にstent留置を施行した腸骨動脈閉塞性動脈硬化症(以下ASO)例の術前回転デジタル血管撮影(以下RDA)によってstent留置部に認められた12個のULである. 12個のULは, 8症例の9stent留置部に認められた. 検...

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Published in:Journal of Nippon Medical School Vol. 63; no. 6; p. 531
Main Authors: 弦間和仁, 中條秀信, 市川和雄, 岡島雄史, 朝戸健夫, 後藤慎介, 高橋修司, 川俣博司, 大矢徹, 田島廣之, 隈崎達夫
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本医科大学医学会 1996
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Description
Summary:目的:動脈の硬化性変化に伴う潰瘍病変は, 乱流発生などから血流遅延や動脈解離, 動脈瘤, 血栓形成などを惹起しうる病変部として考えられる. 今回, 我々は血管造影上で潰瘍様にみられた病変部(以下UL)がStrecker stent(以下stent)留置によって示した変化につき検討したので報告する. 対象, 方法:対象としたのは, 1993年6月から1996年6月までの期間にstent留置を施行した腸骨動脈閉塞性動脈硬化症(以下ASO)例の術前回転デジタル血管撮影(以下RDA)によってstent留置部に認められた12個のULである. 12個のULは, 8症例の9stent留置部に認められた. 検討としては, stent留置前および直後に施行したRDA画像によって, 描出されるULの深度を中心に行った. 結果:stent留置後直ちに施行されたRDAにてULが消失してみられたものは4病変. 著明に縮小してみられたものは5症変, 縮小して認められなかったものは3病変であった. 病変が拡大してみられたものはなかった. 縮小して認められなかったULは, 血管走行に対し垂直の方向に存在するもので, 嚢状動脈瘤様の形態を呈したものであった. 考察:本検討では, 多くのULはstent留置直後で退縮するものの, 嚢状動脈瘤様ULに対する効果は不明との結果が得られた. しかしながら本検討は超短期的検討結果であり, ULに対するstent留置の効果を論ずるには長期的観察結果を加える必要があると思われる.
ISSN:1345-4676