ネフローゼの経過中に消費性凝固障害の急性増悪で死亡した全身性血管腫の1例 Kasabach-Merritt症候群
巨大血管腫に伴つた消費性凝固障害はKasabach-Merritt症候群といわれ,出血傾向を生ずる.今回,異常血管腫内の血栓形成により慢性消費性凝固障害状態が存在し,ネフローゼの経過中にその急性増悪が生じ,死亡したと考えられる1例を経験したので剖検所見をあわせ報告する.症例は17才,女性で,主訴はたんぱく尿,浮腫,出生時より存在した右半身肥大と母斑および血管腫で,家族歴に特記すべきことはない,昭和51年4月,腎静脈血をふくめ,血液凝固学的検討を行なつたところ,消費性凝固障害が認められた.選択的腎動脈造影で腎内血管腫が確認され,腎静脈血では,腎内血管腫内皮からのプラスミノーゲンアクチベータ遊離に...
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Published in: | 日本内科学会雑誌 Vol. 68; no. 6; pp. 653 - 659 |
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Format: | Journal Article |
Language: | Japanese |
Published: |
一般社団法人 日本内科学会
01-06-1979
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Summary: | 巨大血管腫に伴つた消費性凝固障害はKasabach-Merritt症候群といわれ,出血傾向を生ずる.今回,異常血管腫内の血栓形成により慢性消費性凝固障害状態が存在し,ネフローゼの経過中にその急性増悪が生じ,死亡したと考えられる1例を経験したので剖検所見をあわせ報告する.症例は17才,女性で,主訴はたんぱく尿,浮腫,出生時より存在した右半身肥大と母斑および血管腫で,家族歴に特記すべきことはない,昭和51年4月,腎静脈血をふくめ,血液凝固学的検討を行なつたところ,消費性凝固障害が認められた.選択的腎動脈造影で腎内血管腫が確認され,腎静脈血では,腎内血管腫内皮からのプラスミノーゲンアクチベータ遊離によると思われる線溶能の亢進が認められた.患者は昭和52年12月,胸腔,大腸,泌尿生殖器への出血で死亡した.剖検所見では皮下,胸膜,腎,脾,肝,左副腎,卵巣,脳に多数存在する血管腫内に多量の新旧フィブリン血栓を認めた.血尿,低補体血症を伴うステロイド抵抗性ネフローゼ症候群を合併していたが,今まで,腎内血管腫とネフローゼの合併例の報告はなく,単なる合併と考える. Kasabach-Merritt症候群の報告は比較的まれとされる.本例の消費性凝固障害の発症要因などにつき考察を加えた. |
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ISSN: | 0021-5384 1883-2083 |
DOI: | 10.2169/naika.68.653 |