P-151)子宮内膜細胞診におけるセルブロック法の有用性について

目的:婦人科領域における子宮内膜細胞診は良悪の判定に苦慮する場合がある. 今回, 迅速にまた的確な報告をするためにセルブロック法(CB法)を併用することによる有用性について検討した. 対象および方法:子宮内膜の検体は当院産婦人科において1994年5月-1997年8月まで子宮内膜細胞診を行った5,480件を用いた. 子宮内膜はエンドサイト法で採取し直ちに細胞診標本を作製した. その後ブラシを滅菌生理食塩水の入ったスピッツ内で洗浄, 浮遊物を検体とた. 1,500回転, 5分間遠心し, 沈渣に20%ホルマリンを加え, 翌日まで固定し, 小塊状になった沈渣をピンセットを用いバイオプシーマットで挟み,...

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Published in:Journal of Nippon Medical School Vol. 65; no. 6; p. 575
Main Authors: 片山博徳, 前田昭太郎, 細根勝, 澤田名美枝, 東敬子, 礒部宏昭, 柳田裕美, 森川記代子, 阿部久美子, 日吾美栄子, 原博, 三田俊二, 越野立夫, 張晶, 浅野伍朗, 十蔵寺新
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本医科大学医学会 1998
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Description
Summary:目的:婦人科領域における子宮内膜細胞診は良悪の判定に苦慮する場合がある. 今回, 迅速にまた的確な報告をするためにセルブロック法(CB法)を併用することによる有用性について検討した. 対象および方法:子宮内膜の検体は当院産婦人科において1994年5月-1997年8月まで子宮内膜細胞診を行った5,480件を用いた. 子宮内膜はエンドサイト法で採取し直ちに細胞診標本を作製した. その後ブラシを滅菌生理食塩水の入ったスピッツ内で洗浄, 浮遊物を検体とた. 1,500回転, 5分間遠心し, 沈渣に20%ホルマリンを加え, 翌日まで固定し, 小塊状になった沈渣をピンセットを用いバイオプシーマットで挟み, 赤インクでマークし包埋カセットに入れ小組織生検材料と同様に型のごとくパラフィン切片を作製し, H, E染色を行った. 結果:子宮内膜検体においては約93%(5,094例)において診断可能なCBが作製できた. 細胞診で内膜癌を強く疑った5例, 内膜癌と診断した15例はCB法で組織構築の判定にも利用でき, その診断は容易で分化度の推定も可能であった. 細胞診ではclass III, class IIIaと考えられたendometrial hyperplasia 15例が補助的に用いたCB法で確定診断が可能であった. まとめ:1)CB法を併用することにより迅速にかつ的確な診断が可能になり, 被検者への負担軽減が考えられ, また治療効果の判定や経過観察にも迅速に対応できることが示唆された. 2)私どものCB作製法は簡便でありroutineの小組織と同様に処理できるため特種な技術や設備を必要としない. 4)今回の結果より今後細胞診で判定が困難な症例にセルブロック法を応用することにより, 細胞診の迅速性と精度向上に役立ことが考えられた.
ISSN:1345-4676