新規抗血小板薬CS-747の代謝活性化機構

【目的】cs-747(Fig. 1)は, チエノピリジン骨格を有する新規抗血栓薬である. 本薬は試験管内ではADPによって惹起される血小板凝集抑制作用を示さないものの, インビボでは代謝を受けることによって速やかにかつ持続的な薬理活性(血小板凝集抑制)を示す1種のプロドラッグである. これまで, チクロピジンなど同系の抗血小板薬の活性代謝物に関しては明らかにされていなかった. 本研究では, ラット肝細胞を用いた一連の代謝化学的実験により, 薬理活性の本体となる代謝物を検索するととももに, 代謝活性化に関与する酵素群及び代謝活性化の経路と支配因子を明らかにした. また, インビボでの代謝活性化効...

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Published in:薬物動態 Vol. 16; no. suppl; pp. S78 - S79
Main Authors: 数井美穂, 山村直敏, 小関智子, 岩渕晴男, 川端清, 栗原厚, 長沼英夫, 廣田孝司, 池田敏彦, 木村登美夫, 浅井史敏, 米田健治, 岩村亮, 北淳一郎, 萩原昌彦
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本薬物動態学会 2001
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Description
Summary:【目的】cs-747(Fig. 1)は, チエノピリジン骨格を有する新規抗血栓薬である. 本薬は試験管内ではADPによって惹起される血小板凝集抑制作用を示さないものの, インビボでは代謝を受けることによって速やかにかつ持続的な薬理活性(血小板凝集抑制)を示す1種のプロドラッグである. これまで, チクロピジンなど同系の抗血小板薬の活性代謝物に関しては明らかにされていなかった. 本研究では, ラット肝細胞を用いた一連の代謝化学的実験により, 薬理活性の本体となる代謝物を検索するととももに, 代謝活性化に関与する酵素群及び代謝活性化の経路と支配因子を明らかにした. また, インビボでの代謝活性化効率について検討した. 【結果, 考察】CS-747のラット遊離肝細胞との反応混液から, SH基と2つの不斉中心を有する薬理活性代謝物を単離, 同定した(Fig. 2, Fig. 5). 4種の光学活性体のうち, 7aR, 1'S配位のエナンチオマーは他の3種のエナンチオマーよりも強い血小板凝集抑制活性を示した. 活性代謝物(4種エナンチオマーの混合物)は, ラットおよびイヌにCS-747を経口投与後の血漿中に検出されたが, 14C標識体投与後の血漿中主代謝物は, 両動物種とも活性代謝物とシステインとの混合型ジスルフィドであった.
ISSN:0916-1139