P-73)化学療法が著効した肺動脈腫瘤塞栓を伴う心臓原発悪性リンパ腫の1例
72歳の男性. 平成16年1月25日頃より労作時息切れ出現して近医を受診. 同年2月2日, 心臓超音波検査にて右房内腫瘍が疑われ, 精査加療目的に当科紹介入院. 入院時, 経胸壁心臓超音波検査にて61×30mm大の可動性を有し一部房状の右房内腫瘤および心嚢液を認め, 経食道心臓超音波検査では右房内より右心室へ振り子様に動き, かつ心房中隔に付着していると考えられた. 性状は粘液腫瘍であるものの悪性腫瘍も否定はできないため, 胸腹部CT施行. 大動脈弓部リンパ節腫脹, 左肺動脈腫瘤塞栓, 右副腎腫大を認め, また, 胸部MRI検査ではT2強調画像にて高信号を示す心内外腫瘍が指摘された. 開胸下心...
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Published in: | Journal of Nippon Medical School Vol. 71; no. 6; p. 487 |
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Main Authors: | , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , |
Format: | Journal Article |
Language: | Japanese |
Published: |
日本医科大学医学会
2004
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Summary: | 72歳の男性. 平成16年1月25日頃より労作時息切れ出現して近医を受診. 同年2月2日, 心臓超音波検査にて右房内腫瘍が疑われ, 精査加療目的に当科紹介入院. 入院時, 経胸壁心臓超音波検査にて61×30mm大の可動性を有し一部房状の右房内腫瘤および心嚢液を認め, 経食道心臓超音波検査では右房内より右心室へ振り子様に動き, かつ心房中隔に付着していると考えられた. 性状は粘液腫瘍であるものの悪性腫瘍も否定はできないため, 胸腹部CT施行. 大動脈弓部リンパ節腫脹, 左肺動脈腫瘤塞栓, 右副腎腫大を認め, また, 胸部MRI検査ではT2強調画像にて高信号を示す心内外腫瘍が指摘された. 開胸下心外腫瘍生検を試みるも腫瘍認めず心嚢液のみ採取した. 細胞診にてClass V, 免疫染色ではB細胞型心臓原発悪性リンパ腫と診断された. 腫瘍が可動性に富み, さらに, 肺動脈塞栓を生じた事実をふまえ治療法の選択に苦慮したが, 外科的治療より集中治療室にて血行動態を管理して行う化学療法が勝ると考えCHOP療法を行った. 第1クール終了後, 右房内腫瘍, 肺腫瘍塞栓, 副腎腫瘍は著明な縮小を認めた. 本例では, 粘液腫瘍であったり, 肺腫瘍塞栓を認め外科的治療も考えられたが, 最終的には化学治療法のみで合併症なく軽快し, 化学療法の有用性が再確認された. |
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ISSN: | 1345-4676 |