6. ラットDeoxyribonuclease I(DNase I)活性の臓器分布

【目的】DNase Iは単なる‘消化酵素’にすぎないと考えられてきたが, アポトーシスにおけるDNAラダー形成に直接関与するエンドヌクレアーゼ活性あるいは細胞骨格形成調節活性など特異な生物学的機能を有することが示唆されている. そこで, DNase Iの新しい生物学的機能あるいは分子進化の解明には, 各種脊推動物由来のDNase Iの比較生物学的解折が有効な手段と考えられる. 我々は, 既にヒト, マウスおよびウサギDNase Iに関する詳細な生化学的解析を報告している. 今回, 代表的な実験動物であるラットについて, DNase I活性の臓器分布を詳細に精査した. 【方法】約20匹の雄ラット...

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Published in:The KITAKANTO Medical Journal Vol. 48; no. 5; p. 411
Main Authors: 森晋二郎, 茂木康一, 須藤執道, 安田年博, 竹下治男, 中島たみ子, 細見修, 中嶋義充, 岸紘一郎
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 北関東医学会 1998
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Description
Summary:【目的】DNase Iは単なる‘消化酵素’にすぎないと考えられてきたが, アポトーシスにおけるDNAラダー形成に直接関与するエンドヌクレアーゼ活性あるいは細胞骨格形成調節活性など特異な生物学的機能を有することが示唆されている. そこで, DNase Iの新しい生物学的機能あるいは分子進化の解明には, 各種脊推動物由来のDNase Iの比較生物学的解折が有効な手段と考えられる. 我々は, 既にヒト, マウスおよびウサギDNase Iに関する詳細な生化学的解析を報告している. 今回, 代表的な実験動物であるラットについて, DNase I活性の臓器分布を詳細に精査した. 【方法】約20匹の雄ラット(Sprague-Dawley種)から20数種類の臓器を採取し, これらの臓器をホモジナイズし, その遠心上清をサンプルとして用いた. DNase Iの活性は, 我々の開発した核酸分解酵素の微量定量法である SRED(Single Radial Enzyme Diffusion)法を用いて定量した. 【結果及び考察】ラットDNase I活性臓器分布においては, 耳下腺, 腎臓, 甲状線, 膵臓, 肝臓, 食道, 胃(幽門), 十二指腸, 小腸精嚢, 精巣上体等に活性が認められた. とくに耳下腺, ついで腎臓が極めて強いDNase I活性を示した. 従前のD Nase Iの臓器分布研究から, ヒトおよびウサギでは膵臓に, マウスでは, 耳下腺および腎臓にそれぞれ高DNase I活性が見られることが明らかにされているが, ラットではマウスの分布にほぼ類似していた. 以上の結果や既知の哺乳類DNase Iの一次構造に関する分子進化学的解折から, 哺乳類D Nase Iは, マウス・ラット群, ヒト・ウサギ群及びウシ・ヒツジ・ブタ群の3群に大別されることが明らかとなった.
ISSN:1343-2826