9)Neuroaxomal dystrophyを伴う,パーキンソン病の1例

目的:Neur-axonal dystrophy(spheroids)を広範に, 灰白質主体に認めたParkinson病の1例を経験したので報告する. 症例:50歳時に右手の振戦と寡動にて発症. 近医神経内科専門外来にてL-DOPAに対する治療効果を認めた. 57歳時ADLはYahr IIIにて独歩可能であった. 明確な痴呆症状を認めなかった. 59歳時肺炎心不全にて死亡. 病理所見:脳重は1,280g. 黒質の色素脱失を認める. 組織所見では, 黒質に神経細胞脱落と残存神経細胞内のレビー小体を認め, 大脳皮質にも広範に観察された. また, 大脳皮質深層にもspheroidを多数認めた. Sp...

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Published in:Journal of Nippon Medical School Vol. 69; no. 4; p. 398
Main Authors: 森修, 大秋美治, 新井悟, 小黒辰夫, 清水秀樹, 赤坂久美, 三枝順子, 松沢こずえ, 黒木副武, 中尾安秀, 飯田恵, 川越康博, 山崎峰雄, 内藤善哉, 杉崎祐一
Format: Journal Article
Language:Japanese
Published: 日本医科大学医学会 2002
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Description
Summary:目的:Neur-axonal dystrophy(spheroids)を広範に, 灰白質主体に認めたParkinson病の1例を経験したので報告する. 症例:50歳時に右手の振戦と寡動にて発症. 近医神経内科専門外来にてL-DOPAに対する治療効果を認めた. 57歳時ADLはYahr IIIにて独歩可能であった. 明確な痴呆症状を認めなかった. 59歳時肺炎心不全にて死亡. 病理所見:脳重は1,280g. 黒質の色素脱失を認める. 組織所見では, 黒質に神経細胞脱落と残存神経細胞内のレビー小体を認め, 大脳皮質にも広範に観察された. また, 大脳皮質深層にもspheroidを多数認めた. Spheroidは小脳歯状核と歯状核門, 海馬にも多数認めた. 基底核脳幹の鉄染色は陰性であった. 考察:広範な多数のspheroidの出現を認める大脳皮質の神経細胞脱落は僅かであり, 臨床的に明確な痴呆を認めないことに合致する. しかし, 該当部位には皮質型レビー小体も多く観察され, 海馬の神経原線維変化の出現領域にはspheroidをも多数認めた. これらの出現に, 共通の要因が推察される.
ISSN:1345-4676